書籍出版及び最新情報

チェルノブイリ関係諸国の医療従事者の教材としてロシア語の医学教科書を出版し寄贈しています。また、ヒバクシャ医療や放射線についての知識普及のために、諸外国の放射能関係事故に関する図書の邦訳本、外国向けの長崎原爆関係図書の英訳本などを出版しています。
また、VTR「カザフスタンの今」を制作し、世界のヒバクシャ医療への貢献と国際協力に役立てました。

最新出版情報(2011.1月)

日本語訳「人間と原子」の発刊によせて

長崎・ヒバクシャ医療国際協力会 会長 蒔本 恭

長崎・ヒバクシャ医療国際協力会(ナシム)は、1992年、長崎県・長崎市及び長崎大学医学部をはじめ県内の放射線医療や科学にかかわる医療機関等により設立され、以来、原発事故により被災したチェルノブイリの子供たち、また長期にわたる核実験のため被災したカザフスタンの人々を救済するために、被災地の医師の受け入れ指導や長崎からの医師の派遣など、長崎の原爆被爆者医療で培われた最先端の医療を提供し続けています。
ナシムは、同じ苦しみを受けた世界のヒバクシャに対し被爆地長崎だからこそできる支援を続けていくことが、ひいては核兵器廃絶と世界平和に大きく貢献することになると考えています。
今回、ナシム活動の一貫として、被爆地長崎が切実に願う核兵器廃絶と世界平和への希求を「セミパラチンスク核実験から60年、核実験場閉鎖から20年」を記念して遺書となっていましたケシリム・ボスターエフ氏の著書をロシア語から邦訳完成することができました。過去15年間セミパラチンスク医療支援活動を続けてこられた長崎大学の山下俊一教授が、2年前にその版権をご子息から譲渡され、原本翻訳は西条泰博氏にお願いし、その校正編集を高橋純平氏にお願いしてここに日本語訳を完成することができました。すでに1999年には、山下教授らのご努力で「核実験8月29日」が邦訳出版されていますので、これでボスターエフ氏の日本語翻訳は2冊目となります。
今回はWeb公開のみでの電子図書としての発刊ですが、将来は出版も視野に多くの人の目に触れるように世界のヒバクシャに対する広報啓発活動が展開できればと考えています。本内容は「編者より」と「読者への言葉」に紹介されていますが、ソ連崩壊前後の激動時期に直接陣頭指揮を執られた当時のセミパラチンスク州書記長としての立場から、20世紀後半の現場の事情の正確な模写に肉薄され、そして1990年前後には強い意志で被ばく者救済にあたられた自伝としての軌跡そのものでもあります。冷戦時代にあり、真実が明らかにされにくい時代的背景や現地の実情を鑑みても、今回このような核廃絶と平和希求への強い想いそのものがナシムから邦訳電子出版されますことの意義は大変大きなものがあります。歴史や時代の検証は今後も必要不可欠ですが、貴重なセミパラチンスクの現地情報を日本語で学ぶ機会が増えたことは大いに歓迎されます。
最後に、今回の電子出版に係わられた関係者各位に心からお礼申し上げ、亡くなられた世界のヒバクシャへの追悼の言葉とさせて頂きます。

平成23年1月23日

※日本語訳「人間と原子」は、PDFファイルでご覧いただけます。ダウンロードは、こちらです。

これまでに出版した書籍

「放射能Q&A」(ロシア語、日本語)

「長崎シンポジウム:放射線と人体~長崎からの提言~」 (英訳)

サイム・バルムハノフ著「中部カザフスタンにおける環境放射能と住民及び家畜の健康状態」(邦訳)

L.A.イリーン著「チェルノブイリ:虚偽と真実」(邦訳)

「甲状腺学:基礎編」(ロシア語)

王玉鱗著「台湾の放射能汚染問題」(邦訳)

「甲状腺超音波診断画像解析図」(ロシア語)

永井隆著「原子爆弾救護報告」(英訳)

「小児甲状腺学」(ロシア語)

「甲状腺超音波診断:疾患編」(ロシア語)

調来助著「原爆被災復興日誌」(英訳)

「長崎・ヒバクシャ医療国際協力会10カ年誌」